皮膚病薬

内臓の痛みが皮膚病となってシグナルをおくることもある

身体の中で一番大きな器官をご存知だろうか。肝臓だろうか?それとも腎臓でしょうか?答えは、皮膚なのだ。全重量は約4kgといわれる。
重さは肝臓の約2倍、表面積は約1.5平方メートル、厚さの平均は1.4ミリ。

さて、皮膚の構造は皮膚表面は表皮、真皮の二層から成り立っている。表皮は最表層にあるのが角層で、1ミリの何分の1くらいの厚さしかないが、意外に大切な働きをしている。

角層がはがれてしまうと、水やその他の化学物質、たとえば洗剤のような物質も皮膚から体内に入りやすくなったり、また紫外線にも弱くなって、すぐに日焼けを起こして真っ赤になる。外界の刺激を受け、皮膚の美しさに関係しているのである。

この角層が厚くなると、うおのめやたこができ、また角層に水虫の菌が入って水虫やたむしができる。

真皮は表皮の下にあって、その中の主な組織は結合織という網目状のしっかりした組織も、その中に毛根とか、汗をつくる汗腺や膚の脂をつくる脂腺などがある。

また血管やリンパ管、神経も走っている。表皮の代表的病気が湿疹なら、真皮のそれはじんま疹。
皮下組織は、真皮とその下の筋肉、骨との間にあり、多量の皮下脂肪を含む。皮膚疾患の種類はきわめて多いが、皮膚病の原因を大別すると、次の4つになる。

  1. 原因が外にあってかぶれたり、細菌感染したり、虫刺されが原因になったりするもの。
  2. 体内のいろいろな臓器、たとえば血管、神経、結合織、肝臓、消化器といったものと関連して系統的に起こるもの。
  3. ホルモンに関連して起こるもの。
  4. 遺伝的なもの、つまり体質的過敏症、あるいは皮膚の奇型など。

このように原因はいろいろで、どうしても治らないものもあることは確かであるが、皮膚病の大部分は適切な治療と患者の根気によって治るのが普通である。
ただし、皮膚が赤くなったり、むくんだりした時に発熱などの症状が起これば、生命にかかわる病気である場合があるので、速やかに皮膚科の専門医の診療を受けること。

効きめは強いが長期の使用は避けたい副腎皮質ホルモン剤

近年あらゆる医学の治療領域で用いられているものに副腎皮質ホルモン剤がある。副腎は腎臓のすぐ上にある、小さく扁平な臓器で、その皮質から分泌されるホルモンを副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモンともいう) といっている。大きく作用を分けると、グルココルチコステロイドという糖分の代謝に影響を及ぼすものと、ミネラルコルチコステロイドというカリウム、ナトリウムなどの塩類の代謝に影響を及ぼすものとがある。

このステロイドの作用でもっとも大きなものは、炎症を抑えるということである。

副腎皮質ホルモンを合成したステロイド剤は、内服、注射、外用など非常に広範に使用されている。炎症にはいろいろな種類があるが、化膿性炎症、アレルギー性炎症などほとんどすべての炎症に作用するのがステロイドの特徴である。

ステロイドの有効な病気として、慢性関節リウマチ、エリテマトーデス、強皮症といったいわゆる膠原病、また、皮膚科方面では薬物アレルギー、湿疹、接触皮膚炎などのアレルギー性疾患、やけどなどの炎症、円形脱毛症などの特異なものまでに有効である。しかし、それだけに使い方には注意を要する。内服のステロイドは長期間続けると今まで働いていた副腎皮質が働かなくなって、自然に萎縮してしまう。

副作用としては水分が蓄積して満月様の顔となったり、にきびが出たり、手足の毛が濃くなるというようなこともある。俗に塗り薬といわれる局所のステロイド剤には多種類のものがあって、多少の差異はある。

はじめに開発されたプレドニゾロンを成分とするプレドニン軟膏は比較的作用はおだやかである。その分副作用も少ない。

湿疹や皮膚炎などが少しでも湿潤していたり、化膿する恐れのある時は、リンデロンが使われる。軟膏はじゅくじゅくしている炎症に、クリームは慢性化していて乾いている状態のものに用いる。

つまりクリームのほうが薬効が強い。これら局所のステロイド剤も内服とはまた違う副作用がある。あまり長期間同じ部位に使用していると皮膚は萎縮して、表皮は薄くなり、時には皮膚の血管が透けて見えるようになることがある。これは顔の皮膚に対しては気をつけなければならない。また化膿菌に対して皮膚が弱くなって、おできができやすくなることもある。
強いかゆみにはステロイド、乾燥なら保湿剤を使うかゆみ止め薬

皮膚病一覧

「痔主」の人が毎日の暮らしの中で気をつけなければならないこと

痔核は内痔核と外痔核(いぼ痔) に分けられているが、その本態は静脈のうっ血によるものである。したがって、次のような状態はなるべく避けるように心がけなくてはならない。

  • 日本式便所で5分以上いきむ
  • 同じ姿勢で(タクシーの運転手やマージャン好きの人などのように)座り続ける。
  • 冬場はゴルフなどで臀部を冷やす。
  • 肛門部分を不潔にする
  • 便秘・下痢

排便後に肛門部を洗う装置が売り出されているが、患部の清潔を保つうえで、痔の悪い人にはおすすめしたい。

痔核は一般療法を続けることによってぐんとよくなることが多いが、次のような場合には、医師に相談しなくてはならない。

  1. いつも脱出している(第三度)。
  2. 排便時にポタポタと出血する。
  3. 痛むので仕事が満足にできない。

赤い鮮血が便の表面に付着している、あるいは排便後に出る場合には痔核からの出血と考えられるが、安心はできない。

特に便に赤黒い血液様のものが付着している時、便と一緒にレンガ色の物が出る、黒いタール様の便が出るなどの時には口から肛門に至る消化管のどこかに出血があるのではないかと考え、医師の診察を受けることが大切である。

痔に効く内服薬

最近では痔の悪い人には内服薬がすすめられる4種類の薬が配合されていて抗炎症、粘膜修復、出血防止作用を発揮する。血のめぐりをよくして痔の血液の滞留を改善し、浮腫やうっ血を緩解する。
内側の痔、便が硬い場合の痔の薬

座薬と軟膏

痔の外用薬には坐薬と軟膏がある。坐薬は肛門より挿入して粘膜面の病変に作用し、軟膏は肛門とその周囲に使用する。薬としては、鎮痛、消炎、収欽、殺菌の効果があるものが配合されている。

坐薬にしても軟膏にしても、副腎皮質ホルモン(プレドニン、プレドニゾロン、ヒドロコーチゾン) の入った薬は、長期にわたり使用する場合には副作用の点を考えなくてはならないので、薬をかえる、あるいは医師に相談することが必要となる。

痔の薬

便秘と下痢が大敵

「色気と痔の気のない人はいない」とよくいわれているが、日本人は「1億総痔主」とまでいわれているくらいである。これは日本人の食事の内容とトイレの構造に関係しているといわれている。

腰から下が冷える状態、腰を圧迫するような姿勢やトイレ(和式)で長い間しゃがんだ状態を続けると痔になるのは、しばしば経験されていることと思う。

肛門付近は解剖学的に静脈が網の目のように入り組んでいるために血液が心臓のほうに還りにくく、すぐにうっ血することになる。

そのために便秘したり、下痢が続くと血管が傷害されて出血したり、炎症を起こして痔になるのである。痔には、痔核(内、外)、切れ痔、脱肛、痔ろうなどと種類があり、その症状も異なるが、このうちで痔核はもっとも多い。

痔の治療は、内科的(服薬)・外科的治療(手術) と一般療法に分けられる。

肝障害の薬

アルコールにやられてしまった肝臓には

この項目では外因性による肝障害についてです。それにはアルコールによるものと薬剤による肝障害がある。

アルコール性脂肪肝は1日一升(日本酒換算) 2日間、あるいは1日6合、7日間の飲酒で生じ、禁酒と高たんばく食を実行すると二週間でほぼ全治する。

アルコール性肝硬変は平均的日本人では、日本酒換算1日5合以上を飲み続けて10年以上たつと、その常習飲酒者の70%は肝硬変を含む非可逆性慢性肝障害を生ずるとされている。
また急性アルコール性肝炎は禁酒にかかわらずその30%は肝硬変に移行するといわれる。

治療の原則は、

  1. 禁酒
  2. 食事療法
  3. 食後1時間の安静
  4. 薬剤の服用

薬の効果は1~3に比較すると効果はあまり期待できない。

食事療法は高たんばく、高カロリー食(体重1kg当たり35キロカロリー以上、たんぱく質1.5キロ以上)を、やせているアルコール性肝炎、肝硬変の患者にすすめる。肝硬変→肝ガンを防ぐように努める。

女性の社会進出の機会が多くなり、飲酒習慣が拡がるにつれて女性のアルコール肝障害が増加している。女性は男性にくらべてアルコールに対する感受性が3倍も高いので、肝障害も3倍起こり易いことになる。
酒については男女同権ではない。女性のアルコール中毒患者は増えてきている。

細菌によって起こった感染症によく効く抗生物質のような特効的肝臓薬はない。近年薬の再評価が行われ、「二重盲検法」によってある程度の薬効が確かめられて、一般肝庇護剤として評価の固まっているものには、少しああるが、一般用医薬品としては製品化されていない。
薬局で買うことのできる肝臓薬としては小柴胡湯(しょうさいことう)などの漢方薬になる。
アルコール性脂肪肝には、その根底には脂質代謝異常が脂質異常症(高脂血症)の治療に使われる薬についてはこちら。

薬が健康を害するケース「知らないうちに肝臓を痛めつけていないか」

薬の服用によって起こる肝障害は近年、頻発している。これは薬の乱用によるものと思われる。肝障害を起こす薬は非常に多く、あらゆる薬剤に肝障害を起こす可能性があるといわれているほどである。

薬剤性肝障害の自覚症状としては、発熱、皮膚のかゆみ(掻痒感)、皮膚粘膜の黄染(黄疸)発疹、じんま疹様、湿疹が認められることが多く、ほとんどの場合、服用開始より8週間以内に症状が出てくるといわれている。

薬剤性肝障害の治療は、原因となった薬の服用を中止することである。多くの場合、服用中止で治癒するが、時として劇症化、慢性化することもある。
場合によっては服薬を中止できないこともあるので、日常生活の節制を心掛け医師の指示に従って経過観察となることもある。薬剤性肝障害にも特効薬はない。
般的肝庇護剤の服用は補助的なものと心得ておいていただきたい。

外因性による肝障害は比較的治療が容易と考えられるが、肝腎なことは、あなた自身の病気に関する知識と実行、決断力が治癒に大きな比重を占めていることである。

禁酒あるいは節酒(日本酒に換算して1合)を続け、薬剤服用が長くなる場合には4つの自覚症状(発熱、皮膚掻梓感、黄疸、発疹)に目を向けて、月に1回は肝機能検査、血液像検査などを受けることである。

肝臓の病気としては他にも急性肝炎、慢性肝炎肝硬炎、肝ガンなどがあるけれども、これらの肝疾患は医師の診察診断、治療に従うことが基本となる。

肝臓の検査を受ける人

最後に肝臓の検査について。

肝機能検査には非常に多くの項目がある。その中の代表的な3項目と検査結果の解釈の仕方、結果の読み方についてまとめたものが次の表である。GOTもGPTも肝臓の細胞の中にある酵素である。

肝臓に障害があると血液中に流れ出てくる、γ-GTPもやはり酵素の名前で、酒の飲み過ぎを調べる。こうしたポイントとなる血液検査で、肝臓の異常が発見できる。

あなたが人間ドックなどで肝機能検査を受けた時には、検査成績の解釈に役立ていただきたい。肝臓が悪くなると、GOT、GPTが増加する。ただし病気によってその増加の程度に差が出る。その比を求めてみると、それぞれの肝臓病によってより大きい場合と小さな場合があり肝臓病の鑑別診断に役立つ。
肝臓を労るに週2日の休肝日が必須

肝臓の薬

肝臓の働きと病息の原因

大切なことや、大事なことを肝腎要という言葉であらわすように、人体にとって肝臓は生命維持のための大事な臓器である。肝臓病で死亡する人は年間3万人以上といわれている。

慢性肝炎罹患者はわが国では120万人以上と推定されていて、その75%はウィルスによる肝炎(B型・C 型など)で、20% がアルコール性肝炎である。

肝臓病の原因には、外来性と内因性がある。身体の外からやってきて肝臓を悪くする外来性の原因として微生物(ウィルス性、細菌など)と化学物質(薬剤、アルコールなど) が挙げられる。

身体の内部に異常があって、肝臓を悪くする内因性のものには代謝、自己免疫、腫瘍などがある。ただしこの外的、内的原因の2つは、相互に密接な関係を持っている場合がある。

肝臓の働きは、大きく次の2つの機能に分けられる。

  1. 身体に必要な物質(たんばく質、血液凝固因子、胆汁、血液成分) を生産し、かつ蓄積しておくこと(糖、たんばく質、脂肪)。
  2. 有害物質を解毒すること。

つまり物質の代謝が盛んな器官ということである。肝機能は年とともに低下をきたすものであるが、肝臓の丈夫な人は、身体中の組織を活性化させ、いつまでも若々しい皮膚を保つことができて、美肌の持主ということになる。アルコールが体内に吸収されると、速やかにアルコールを分解する働きを肝臓が担うことになり、肝臓の中の酵素の作用で、アルコールは酸化を受け、アセトアルデヒドから酢酸を経て、さらに炭酸ガスと水とに分解して体外に排出される。

肝機能の優れた人は、酒を飲んでも悪酔いしないですむ。肝機能検査に異常はなくてもお酒を飲むとすぐ赤くなって気分の悪くなる人がいる。このような酒に弱い人は日本人では約半数であるとされている。
アルコールが肝臓で酸化されて生じたアセトアルデヒドがこの悪酔いの元凶で、このアセトアルデヒドを分解する酵素、アセトルデヒド脱水素酵素が充分でないと悪酔いすることになる。

西洋人ではこの酵素のない人は10%くらいといわれていて酒に強い人が多い。したがってアルコール中毒者も多くて社会的問題としてとりあげられている。

日本人では、ありがたいことに、この酵素のない人は50%にも達するので、アルコール中毒者は少ない。反対に、肝機能の悪い人は疲れやすく、吐きっぼい。

酒類や脂肪類の食物を受けつやつけないようになり、顔にシミができたり、カサカサした肌になって艶がなくなる。また右の肋骨の下が張るような、少し痛いような不快感におそわれる。

これは、いわゆる肝障害を伴う胃炎を起こすことが多い。こんな自覚症状のある人は、一度病院で尿や血液の生化学的な検査を受けて、病気か病気でないかを調べたほうがいい。

内臓の疾患では、胆のう結石、腎結石、胃けいれんなどをのぞくと、痛みを伴うことは少ない。痛まぬからこそふだんからの注意が肝要で、少しの変調にも目をむけてほしい。

肝臓の病気の人は、過労を避け、休養と睡眠時間は充分にとり、脂肪食はなるべく避けて消化のよい新鮮なたんばく質を充分に摂り、アルコールを断ち、不必要な観察を続けてゆくことである。

市販の強肝剤は効果があるのか

市販の強肝剤といわれているものには、肝機能を促進するもの、胆汁の分泌をよくするもの、肝臓を保護し働きをよくするものなどがある。
しかし肝臓という臓器は複雑で、作用についても、疾患についても、まだわからぬ点が多いのが実情である。

強肝剤の服用でこと足りると思うととりかえしのつかないことになる。現在市販されているいわゆる強肝剤は、肝臓に対する作用だけでなく、ビタミン剤、胆汁分泌促進剤、あるいは多種類の栄養剤が配合されており、疲労回復、二日酔い、食欲不振などのほかにつわり、食中毒、じんま疹などの解毒薬としても使われている。
脂肪肝、肝炎、肝硬変を追放するのは「強肝草エキス」

幼児の胃腸病

幼児の食あたり

幼児は、おとなと違って食べ物に対して節制やわきまえがないため、往々にしてブレーキがきかなくなる。食事を食べずにお菓子や果物ばかり食べたり、寝る前に冷たい飲み物を飲んだりして、胃腸に悪く、消化不良を起こすもとを仕込んでいる。

また、夏には寝冷えをするし、冬は風邪から下痢を起こすことがよくある。幼児は、病気になると進行が早いので、食中毒や胃腸障害で発熱したら、医師の診断を仰ぎ、適切な治療を受けなければならない。

子供特有の怖い病気は多い。しかし通常の食あたりの場合には、絶食と安静を守りながら用量を説明書でよく理解して、適量の胃腸薬を飲ませるとよい。
まず消化剤の配合されたものにはタカヂア錠がある。5歳前後の小児ならば1回1錠で消化不良、食べすぎなどの場合によい。

ワカ末錠は塩化ベルベリンが主剤で下痢を止めるにはよく使われている。

同じような下痢止めには大正止瀉薬小児用がある。

乳酸菌製剤としては新ビオフェルミンS細粒%83%B3S%E7%B4%B0%E7%B2%92/がある。

整腸剤として昔から使用されたもので、軽い下痢、食あたりによい。ミヤリサンアイジAは、宮入菌末にビタミンが配合された顆粒状の薬剤で、幼児の軟便、緑便などの消化不良に有効である。

子供が何度も吐いた場合

幼児期、学童期には、しばしばいわゆる自家中毒がみられる。この病気はある日突然にはじまり、嘔吐を繰り返す。アセトン血性嘔吐症の病名がつけられているようにケトン血症、ケトン尿を伴う。

これは嘔吐によって起こった代謝の失調を意味しているが、嘔吐の止まらない場合には脱水症状が強くなり、輸液をしなくてはならないので、医師の診断、治療にまかせるべきである。水やお茶が飲めて安静にすれば吐かなくなる程度の症状ならば、家で寝ているだけで自然に治る場合が多い。

幼児の便秘を治療する場合に注意すべきこと

幼児の便秘には、町粁般的に下剤を用いず浣腸をする。乳児では、果汁などで便通を調整するのが一般的なやり方だが、急性腸炎などで発熱している時は、浣腸をして直腸付近の便の性状を見ておくとよい。

イチジク浣腸などがある。グリセリンを含み、腸管の嬬動を高めるように働く。