イライラ、不安、うつ症状

高齢者は薬の量を少なめに

イライラ、不安、緊張、不眠などの諸症状には、マイナートランキライザーが効果がある。バランス、コントールは、タロルジアゼポキサイド製剤である。

ホリゾン、セルシンはジアゼパム製剤で、神経症(ノイローゼ)や心身症の人の治療に用いられ、かなりの成績をあげている。

マイナートランキライザーにはこのほか、オキサゼパム製剤のハイロングやメダゼパム製剤のレスミットがあり、いずれもよく使用されている。
個々の薬剤により、効果の出現時間や作用時間はみな異なるので注意したい。

特に高齢者は用量を少なくする必要がある。精神神経安定剤を飲んでいる時は、眠気、ふらつき、めまいなどの症状があらわれることがあるので、自動車の運転、危険な機械の操作になるべく従事しないように注意する必要がある。

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服用していると催眠剤と同じように習慣性がつきやすく、服用量が増えてくるから連用は医師の指導によって行うべきである。特に妊娠する可能性のある人は注意すべきである。

人情に厚く、活動的な人がうつ病にかかりやすい

何となく気分がすぐれず、考えがまとまらない。すべてに興味と意欲を失う。人とも会いたくない。みんなに迷惑ばかりかけて申しわけない。果てはいっそ死んでしまったほうがよいと意気消沈してしまう-

これが典型的なうつ状態である。こうした典型的なうつ病は、診断も容易であり、精神科で治療される。ところが、近頃、種々の身体症状を呈して精神科以外の各科を訪れるうつ病患者が注目されている。

いわゆる仮面デプレッションと呼ばれる病状で、これらの患者たちはうつ状態としての精神症状をもちながら、それを訴えることが少なく、むしろ多彩な身体症状(不眠、食欲不振、全身倦怠、頭重など) を主体とする。これを「仮面うつ病」といい、身体症状のうしろに実はうつ病がひそんでいる。この場合、患者自身は何か身体疾患にかかったものと思い込み、診察する医師もまた身体疾患を中心に考えることが多い。

誤診されやすく、時には不必要な治療が行なわれることもあるので、うつ状態をよく理解しておく必要がある。典型的なうつ病にかかるのは、比較的若年で、人情に厚い、活動的な人であるといわれている。

一方、更年期うつ病といって、マジメな中年の人がなるものもある。いずれにしてもうつ病は必ず治る。うつ病ないしうつ状態の治療には、抗うつ剤を中心として、これにマイナートランキライザーが併用される。

抗うつ剤では、トリブタノール、トフラニールがよく使われている。前者の成分はアミトリプチリンであり、後者の成分はイミプラミンであって、使用後1~2週間以内に著しい病状の改善をみる。効果が出ても2~3ヶ月月は続けて服用したほうが再発防止上よい。少量では、副作用はあまりあらわれない。
うつ病について詳しく

神経症(ノイローゼ)、心身症

神経症(ノイローゼ)・心身症の種類とその症状

人には、心と身体がある。もともとはっきりと分けることができない1つのものの両面であるが、かりにこれを分けてみると、神経症(ノイローゼ)は心から起こる病気(精神的原因による病気)といえる。
神経症は脳やそのほかにも異常がなくて、自分を自分で悩ませている状態のことである。これには次のような症状がある。

  1. 心身症 病気ではないかと過度に身体に注意をひかれて心配している。
  2. 不安神経症 不安になるといてもたってもいられなくなって救急車を呼び、病院に駆けつけたとたんに治るようなもの。
  3. 強迫神経症 観念に対して過敏になり、怖い観念がまた起こりはしないかと恐れていると、かえって起こりやすくなり、悩む。
  4. 恐怖症 強迫神経症が恐怖感情と結びついたもの。
  5. 離人恐怖症 自分の感情が感じられない、現実感がない、自分で自分という気がしないと悩む。
  6. ヒステリー どちらかというと女性に多い病気で、自分の欲求が思うように満たされぬ場合に起こり、いろいろな症状を呈する。けいれん、失神、運動障害、感覚障害、視・聴力障害、発声障害、悪心、嘔吐、苦悶、もうろう状態、せん妄状態など、その症状は多彩で、時には自分の過去を忘れたり、幼児のような状態になってしまうこともある。子供っぽい性格の人にみられる。

心が身体に影響を及ぼして症状を起こすのが心身症である。循環器科、皮膚科、眼科、耳鼻科、婦人科、泌尿器科、整形外科など広範囲な領域で心身症が問題となっている。

小児もいろいろの心身症になる。神経症や心身症には、面接療法、精神分析療法、自律訓練療法、行動療法などが効果的であることはいうまでもないが、マイナートランキライザーの効果もかなり期待できる。

現代社会はストレスも当然多いが、それを上手にコントロールすることが「心の健康」にとって必要である。
現代人のストレス

精神神経安定剤

精神神経安定剤の効用

精神神経安定剤(トランキライザー)は、「心を鎮める」とか「気持ちを落ちつかせる」とか「眠気を催させる」という作用をもつ。これには、

  1. 抗不安および鎮静の効果のある穏和精神安定剤
  2. うつ病の場合の鎮静に有効な抗うつ剤
  3. 精神病における鎮静を目的とする強力精神安定剤

の3種類がある。普通、精神神経安定剤といっているのは、このうちの穏和精神安定剤、すなわちマイナートランキライザーのことである。
抗不安薬ともいわれる。強力精神安定剤とともに、医師の指示が必要で要。

精神神経安定剤は大脳辺縁系・視床下部に働いて、不安、緊張、抑うつなどの情動障害、神経症症状を改善するとともに、自律神経失調に基づく諸症状に対しても調整効果を発揮する。また、あるものは睡眠剤としても用いられている。

乗り物酔い

乗物酔いを避けるための生活の知恵

乗物酔いは耳の奥にある前庭迷路に加えられた刺激(加速度)によって起こるので、常日頃よりこの前庭迷路を刺激して鍛練すると乗物に強くなる。
スケート、ジェットコースター、体操、ブランコなど加速度の強いものならなんでもよい。積極的に身体を動かして加速度に対する耐性を獲得しよう。

また車に乗った場合には重心に近いところに位置するように心掛ける。バスならばエンジン部分より三席程離れた座席がよい。下を向かないように気をつけて楽な姿勢で座る。

目の前をかすめて通る近景は注視しない。動きの少ない遠景を眺めるかあるいは目をつぶると効果がある。tヮんlつんこの乗物酔いの予防薬(鎮章剤という) が見つかったきっかけには、面白いエピソードがぁる。抗ヒスタミン剤の登場した頃、じんま疹治療で通院していたおばあさんの話を、担当していた医師が見逃さなかったことから始まる。

おばあさんはいつも汽車で通院していたのだが、元来、汽車の動揺ですぐむかつくたちだった。それがじんま疹の治療を受け出してから平気になった。すなわち、使用した抗ヒスタミン剤ベナドリールという薬の思いがけない効果とわかったのである。
薬にはいろいろあるけれども頑固な乗物酔いの人には4日前と前日の2回、メイロン(7%重曹水) 五50mlを静脈注射することをお勧めする。これは前庭部の耳石に作用して動揺に対する感覚を鈍くするといわれていて、薬だけでは効果の充分でない人に有効である。

乗車30分前に飲む

このように酔い止めの薬は抗ヒスタミン剤を主剤としたものが多い。抗ヒスタミン剤を用いることにより、神経の感受性を緩慢にするのが目的である。そのために、眠気が出ることもあり、ドライバーや機械を操作する人などは服用にあたって充分な注意が必要となる。

酔い止め予防薬は通常、服用してから30分ぐらい過ぎてから効く。したがって、酔う人はあらかじめ車に乗る30分ぐらい前に服用する必要がある。よくあることだが、酔い始めてから、あわてて服用しても、あまり効かない。

乗り物酔い予防薬

自律神経失調症の一種

音を聴く耳は、外耳、中耳、内耳に分けられている。
内耳には蝸牛、三半規管、耳石器などの小さな器官が収納されていて、側頭骨の骨の中に埋没した状態になっている。乗物酔いは、この小さな器官である三半規管と耳石器前庭器官が、乗物の発進・停止・急カープ・振動などの上下左右に起こる加速度(速度の変化)によって刺激されて、自律神経刺激症状を起こした、いわば加速度性自律神経失調状態である。

特に、神経質な人、貧血の人、肝臓や胃腸の弱い人、過労、睡眠不足の人は、乗物酔いにかかりやすい。一度乗物酔いを経験すると「また酔うのではないか」と自己暗示をかけることになり、乗物酔いにかかりやすい傾向がある。
乗る前に飲んで予防、乗ってからでも効くものも(乗り物酔い)

消毒薬

消毒薬のいろいろ

微生物を殺す薬剤には次のような特性が要求される。

  1. 比較的短時間にあらゆる病原微生物を死滅させる効力があること。
  2. 有効濃度で皮膚、粘膜を刺激損傷せず、吸収毒性もないこと。
  3. たんばく、血液、その他の爽雑物で不活性化されない。
  4. いろいろな環境条件下に曝露されても安定性があり効力が持続する。

残念ながら、これらの条件を全部満足させてくれる消毒薬は今のところ、ない。メーカーによりいずれも一長一短があるのである。代表的な消毒薬としては、グルタラールなどがある。

この中で微生物殺減作用の強いものは、グルタラールと次亜塩素酸ナトリウムで、長時間使用するとあらゆる微生物を殺滅することができる。病原微生物の中で一番抵抗性の強い細菌芽胞にはグルタラールの2% 液あるいは次亜塩素酸ナトリウムの1一% 液に浸漬し、3時間以上の接触が必要とされている。

だが通常の細菌を消毒するのであれば十分間の浸漬で滅菌可能とされている。グルタラールと次亜塩素酸ナトリウム以外の、消毒剤は、細菌芽胞に対してほとんど無力と考えていただきたい。

B型肝炎ウィルスで汚染された血液の附著した手指の消毒には水道の流水と石鹸で該部を洗い流し(3~5分間)、消毒用エタノールまたはイソジンで清拭する。

ヒビテン、オスパンなどは家庭で最もよく使われている消毒剤である。手、皮膚の消毒には一般に、消毒用エタノール、イソプロパノールがよい。ヨードチンキ、希ヨードチンキは皮膚からの浸透性が強いため、手術前の皮膚消毒に使用する。切り傷、粘膜の消毒にマーキュロクロム液(2% ) が多く使われたが、チメロサール同様、水銀化合物のため水銀公害問題以来姿を消しつうつある。

鼻腔内のできもの

1週間前後で、薬の効果が出て改善・好転がみられる

鼻腔内におできや湿疹などのできた場合は、抗生物質剤や副腎皮質ホルモン剤入りの軟膏や液がよい。テラマイシン軟膏リンデロンVG 軟膏などの塗布をすすめる。前者は、強力な塩酸オキシテトラサイタンという抗生物質が含まれており、後者には湿疹を早く治す成分と抗生物質のゲンタマイシンが入っている。

これら鼻の疾患は1週間前後で改善、好転のみられることが多いのだが、悪化するようであれば専門医に相談すべきである。

鼻かぜ

花粉アレルギーにも効果のある抗ヒスタミン剤

鼻の病気というと、鼻づまり、鼻アレルギー、副鼻腔炎などがあげられる。かぜをひいたための鼻水や鼻づまり、呼吸の苦しさから鼻を強くかんだあとの耳への影響などは煩わしいところである。

塵埃や煤煙をすっての鼻炎や、春先のいろいろな花粉の刺激で起こる鼻アレルギーなど、鼻は敏感な場所でもある。薬局の調剤室でも、粉薬を調剤しているとクシャン、クシャンと鼻アレルギーを起こすことがある。

かぜをひいた場合の鼻水や鼻づまりは感冒薬を飲むと、たいていは治ってしまう。感冒薬の中に抗ヒスタミン剤が入っているからである。一時的な鼻づまりは蒸しタオルで温めると、鼻の中の血管やリンパ管が拡張し、鼻汁が出てトンネルの中がスッキリする。点鼻薬として市販されているものは噴霧式のものが多い。スプレー式で便利である。点鼻液は末梢血管収縮薬が入っており、鼻腔内粘膜のうっ血、腫れを除去する。1~2回ずつ噴霧すると鼻がスーツとする。

最近では、こんな末楷血管収縮剤に抗アレルギー作用をもつ副腎皮質ホルモン剤を加えた薬なども使われている。作用が強いので幼児の使用は禁止され、また3~4回の噴霧が指示されている。また成人の場合もあまり頻繁に使用すると、鼻の粘膜を刺激して鼻血を出すこともあるので使用上の注意点を必ず守ること。

蓄膿症

切らずに治せる蓄膿症の薬はあるか

鼻の病気で手に負えないものに蓄膿症(副鼻腔炎)がある。黄色の粘液性のうみが出て臭気をもつようになる。その苦痛は鼻だけではおさまらず、ふだんでも頭痛が起こるために思考力が鈍り、子供では勉強嫌いになったりする。

気道の感染源として問題となっている。急性と慢性とがあるが、急性から慢性へと移っていくものが多い。鼻腔のまわりにある副鼻腔中に炎症が起こり、うみがたまるのである。慢性副鼻腔炎の治療には手術療法と薬物療法とがある。粘膜の病変を改善して、排気、排膿を図り、正常な副鼻腔機能が営まれるようになれば完治する。薬物療法の主軸は抗生物質である。また抗炎症作用、抗アレルギー作用に期待をかけて副腎皮質ホルモン剤、抗アレルギー剤も使用される。

また、たんばく分解酵素に抗炎症作用、組織透過促進作用、粘膜修復作用のあることが明らかになり、蓄膿症を切らずに治せるのではないかと期待されている。

蓄膿症や肥厚性鼻炎などによく効く漢方成分が入っている。手術的療法は蓄膿症を根治させる唯一のものである。いずれにしても専門医と相談することが肝要、しろうと診断は厳禁である。

蓄膿症による 嗅覚の衰えがなた豆で復活した

耳鳴り

耳鳴りは内科系疾患によって起こることもあるから原因をよく確める

高血圧の人や更年期障害の婦人では耳鳴りを訴える人は多い。これは直接、耳が病気になったわけではなくて、内耳性あるいは後迷路性の微小循環、新陳代謝の障害によって起こることが多い。

もちろん外耳、中耳、耳管などの病気によっても起こるので原因となった疾患の治療で治癒する場合もある。メチコバール などがある。

また代謝賦活、微小循環改善を期待してエスファイトゴールドなども効果がある。
なお、耳鳴りは一度はじまると治療の困難な場合が多い。
民間療法だと耳鳴り・難聴を解消などもあります。