しもやけ

患部を温めてから薬を擦り込むと効果的

幼・小児では冬になると手、足などが赤紫色に腫れることがある。成人では主に女性に同じような症状を呈する。

暖かいところや寝床では痒みがひどくなる。寒冷などのために血液循環が悪くなって、手や足、耳たぶのようなところに血液が停滞してしまうためである。

また全身的に寒冷にさらされても局所的に起こるのがしもやけで、重症の時には長期間局所に血液が停滞するため、局所の栄養障害を起こして、組織の壊死を起こすため傷跡が残ることがある。

しもやけは体質的なものがあって、これを変えることはできないが、進行を防ぐには、皮膚を強化することが大切で、乾布摩擦のようなマッサージを繰り返すとよい。しもやけは軽いうちに処置すれば治療効果もあがる。

しもやけの外用薬としては、皮膚の末棉血管を拡張して血流をよくするビタミンE含有のサンクロン軟膏がもっとも多く用いられる。患部を温浴してからすり込むといっそう効果的である。

また内服薬としては、末棉血管の拡張剤で循環障害に用いるイノシトールニコチネートの含まれているユベラックスがいい。

おむつかぶれ

おむつかぶれにはスキンケアで対応する

乳幼児のいわゆるおむつかぶれというのは、おむつを当てている部位に一致して赤くなり、その中に小さい白っぽいぼつぼつがたくさんできる。

はじめは肛門に近いところからできてきて拡大する。おむつかぶれの原因にはいろいろあって一定しないが、一昔前にはアンモニア説があげられた。
つまり尿、大便によって生じたアンモニアの刺激でかぶれると考えられたが、アンモニア貼布試験の結果はこの説に否定的である。おむつの物理的な摩擦による炎症も想定されているが、これだけでは充分な説明は困難である。

一時有名になった皮膚カンジダ症も要因の1つと考えられるが、スキンケアが上手に行なわれる場合にはそれだけで治ってくるのでカンジダ説もあやしいものである。スキンケアの要領は次の点に配慮する。

  1. なるべくおむつを当てないでおく
  2. 使い捨て紙おむつを使う
  3. シャワー、入浴、石鹸で常におむつ部を清潔にしておく
  4. 外用剤としては、はじめは副腎皮質ホルモンを含まない刺激の少ない軟膏類を塗る

あるいはパウダー類を散布するとよい。コザカイ・Pなどがよい。1日に数回塗擦あるいは散布する。もちろん局所をシャワーなどで清潔にした後で処置する。

スキンケアを続けるにもかかわらず治らない場合は皮膚科で診察してもらうこと。乳幼児の皮膚はデリケートにできていて、皮膚病に一般に使用されている軟膏、液、クリーム等でかえって悪くすることがあるので注意する。

うおのめ、いぼ

刺激の受けやすいところにできる

うおのめは表皮の角層が厚くなって、次第に皮膚深く入ってしまうものであって、角層はくさび状に侵入するので、靴をはいたりするとちょうど小石を挟んで靴をはくように痛くなる。

うおのめは皮膚の下に骨が浅くふれるところに、あるいは靴の長期間繰り返しあたるようなところに発生する。それゆえ、靴をはく習慣がある間は発生するので、足の小指などが靴にあたらないように工夫しなければならない。うおのめが痛くて靴がはけない時にはとりあえず、絆創膏 を貼っておき、2~3日してからかみそりで少しずつ削ると早く痛みがとれる。ぼは身体のどこにでもできるが、ことに手の指、甲、ひざ、足の裏など刺激を受けやすいところに多くできる。

うおのめとの区別は、上から皮膚に対して水平に少しずつ削ると、その中に黒い点々が見えてくるようであればいぼである。

いぼはウィルス性のものである。治療にはイボコロリがよい。この液体をガラス棒で患部に塗ると自然に軟化し剥離する。いぼを軟化させて削りとる方法としてはビニール膏があるが、1~2回でうまくとれてしまう時と、何回処理してもとれないことがある。

いぼが多発して局所療法がうまくいかない時は、はとむぎの実を煎じて毎日飲むと治ることがある。
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いぼが急激に増加したらきちんと受診しましょう。いぼが数ヶ月で全身に広がり、かゆみも伴う場合は、消化器系のガンの疑いが強い

いんきん、たむし

一緒にされやすい「いんきん」と「たむし」の違い

いんきん、たむしと一般的に呼ばれているものは次の3つに分けられる。その1つは湿疹である。主として男性の場合は陰嚢、女性の場合は大陰唇であるが、ほとんどが男性で、いんきんと呼ばれている。

その症状は軽度に赤くなって皮がむけ痔くなるのが特徴である。

2つ目はカンジダ症といって、陰嚢あるいは大陰唇から股のほうにかけて赤くなり、粟粒大の丘疹がぼつぼつでき梓くなる。

カンジダとは一種のカビ(真菌)である。

三番目はたむしといわれている頑癬(がんせん)で、陰嚢や陰唇には関係なく、大腿部から股のつけ根にかけて、境界が比較的明瞭で、その縁は少し高くなっている。

色は赤く、皮がむけ、ぽつぽつと丘疹が散在している。

このように陰部から大腿部にかけては3つの病気が主なものであるが、治療薬はそれぞれ違うものを塗らなければならない。

一番目の湿疹であれば、はじめは亜鉛華軟膏オイラックス潤乳液などをつけてみる。これで治らなければ副腎皮質ホルモンの入っている軟膏などをつけるとたいていの湿疹によく効く。

2番目のカンジダ症にはイミグゾール系抗真菌剤がよく利用されるが、カンジダに優れた抗菌作用のあるピマシリンの入った薬も効果的である。

第3の頑癖は白癖菌が付着したものであるから、水虫の薬を使用すればいい。1一日2~3回患部に塗布する。これらいんきん、たむしの類は、昔から石けんを使わないといわれていたが、これはむしろ誤りで、普通の浴用石けんを用いてさしつかえない。入浴、シャワーを励行し、皮膚を清潔にしておくことが大切である。不潔、多汗は頑癖の誘因となる。痔いからといってタオルでこすったり、爪を立てて洗ったりすると、必ず悪化する。通気性のよい下着の着用も心がける。

膣カンジダ再発の薬

アトピー性皮膚炎

小児のうちに治しておく

アトピー性皮膚炎は、非常に増えてきた子供の皮膚病です。「子供の皮膚病の半分くらいはアトピー性皮膚炎である」ともいわれているくらいである。
これには体質的な遺伝があって、その血族にはじんま疹、喘息、アレルギー性鼻炎のようないわゆるアレルギー性の病気がある人が多い。

症状は一般に赤ん坊の時、小児、成人と少しずつ変わってくるのも特徴の1つである。

赤ん坊の時の湿疹は乳児湿疹ともいって、顔から頭が赤くなってくる。それに黄色っぽいかかさぶたがついたり、赤いぽつぽつした丘疹が加わってかなり汚ない感じがする。

このような症状は生後2~3ヶ月から半年くらいまで続くことが多いが、この時期のものは放っておいても自然に治ることが多い。治療は、湿疹といえば副腎皮質ホルモン剤といわれるほど、近年はよく使用されるようになったが、黄色っぼいかさぶたなどにはあまり効かない。
かさぶたを取るには亜鉛華軟膏をガーゼなどの布に伸ばして貼っておき、翌日オリーブ油で軽くふきとる。これを数日行うと取れてくる。

かさぶたが取れたら副腎皮質ホルモン剤でよい。非ステロイド系抗炎症剤の入っている軟膏などがよく効く。

症状によっては皮膚の炎症を抑制する力の強いデキサメタゾンが入った副腎皮質ホルモン剤である軟膏を1日数回局所に塗布すると、たいていのものは1週間くらいでよくなる。

これでも効かない時はリンデロンを使う。このほうがもう少し強力である。アトピー性皮膚炎が小児になってできると、少し違う症状をみせるようになる。つまり2~3歳頃から始まる症状で、主に身体が乾燥して鳥肌になり、非常にかゆがる。鳥肌様の皮膚は赤くなることもあるが、一般にはただざらざらしているだけで痒い。

ひどい場合は患者はもちろん、母親までが睡眠不足になってしまうことがあり、子供は成人してからも神経質になって困ることが多い。経過は、一般的に冬に悪化して、夏には軽快するが、この逆のこともある。

またこの病気の8割は学齢期頃には治ってしまうが、ここで治らないと、思春期頃には成人型のものに移行する。治療は、一見大した変化がないのに痔がるので、かゆみ止めとして抗ヒスタミンを含有し、さらに炎症抑制効果のあるハイドロコーチゾンが入った薬がかなり有効である。

これでも効果がない時は副腎皮質ホルモンであるベトネベートは相当に痔みを抑えることができる。また寝る前にやはり抗ヒスタミン剤であるレスタミンコーワ錠を飲むとぐっすり眠れるので引っかいたりすることがなくなる。

アトピー性皮膚炎の屈側型

この症状は関節の内側、頚、背中、顔などに苔癬性変化、つまり皮膚の溝が大きくなる症状がでてくるのが特徴である。肌理が荒くなるわけである。全身の皮膚がざらざらしているようなこともあるが、今述べたような変化がこの病気の一番の特徴で、かなり痔がる。

症状が軽い場合は興和新薬 新レスタミン軟膏 30gでも間に合うが、思春期以後に起こってくることの多いこのタイプでは、やはり副腎皮質ホルモンの入った外用薬でなければ効かないことがしばしばである。

といっても、副腎皮質ホルモン剤ならどれでもよいというわけではない。症状の軽いものは作用の弱いものを塗るべきである。というのはこれらの副腎皮質ホルモン剤は長いこと塗らなければならない時には、時として副作用を起こすことがあるからである。

薬の効果を生かし、吸収を早めるODT療法(密封療法)

単純に塗布を繰り返しても治らない時はODT療法を行うとよい。ODT療法というのは、副腎皮質ホルモン剤を塗った上を空気が入らないようにしてしまう方法である。

そして薬剤の有効成分が表皮を通過しやすくする。したがって、1時間や2時間でやめてしまうわけにはいかない。この方法を行ったほうがよいと考えられる病気の部たいせん分は、皮膚が硬かったり、音痴化といって、皮膚の溝が深く明瞭に見えるような所である。方法は副腎皮質ホルモン剤のうち、主にクリーム状の薬を使用するのがよく、これを患部に少し厚く、白く見えるほどに塗って、それをサランラップのようなプラスチックフィルムを貼り、周囲を秤創膏などで留め、空気が入らないようにしてしまう。

なるべく皮膚と密着したほうがより効果があるので、密封した上から包帯を巻いてやるとさらに治りが早くなる。ODT療法用につくられたもの専用のテープもあるこれは副腎皮質ホルモンであるフルドロキシコルナドを含有している密封療法用のテープである。このテープは皮膚と密着するのでホルモンとしての作用は弱いのに、よく効く。また指とか手のようにODTがしにくい部位でもよくできるので便利である。

アトピー性皮膚炎の飲み薬

この病気は痒みが強いので、とにかく痒みを止める方法を考えなければならない。それには抗ヒスタミン剤の内服がよいが、抗ヒスタミン剤は痒み止めであると同時に眠くなるという副作用がある。

これがこの薬のよい副作用でもある。赤ん坊や幼児には、甘味のあるシロップがある。少し大きくなって粉薬が飲めるようになったら、レスタミンコーワ 糖衣錠 120錠が作用が強いので便利である。この薬は小児科では食欲増進剤としても使われている。

アトピー性皮庸炎の人の入浴、食事、下着

昔から湿疹ができた時は入浴は禁止されたものだが、現在はその逆で、入浴して皮膚を清潔にしておくことが大切とされている。また、石けんは刺激があるとされてきたが充分に洗えば刺激作用は起こらない。石けんで湿疹が悪化するというのは、入浴中に爪で引っかいたりタオルでごしごし擦るからである。また、下着類は必ず木綿製晶を用いる。

アトピー性皮膚炎は一般に皮膚が乾燥しているので、あまり洗浄力の強い石けんは望ましくない。ひと頃は湿疹石けんともいわれたが使われた時代があったが、この石けんの成分のラウリル硫酸ナトリウムは、多少、人によっては刺激性があるので、普通の浴用石けんを静かに使うのがいいだろう。

また弱酸性石けんであるミノン石けんを用いてもよい。いずれにしても、石けんを使う時は、タオルなどで皮膚をごしごし擦るのは厳禁である。

アトピー性皮膚炎の治療に厳重な食事療法が有効であったとする報告がテレビや週刊誌で報道されている。ダニ、家塵、牛乳、肉、卵白などが抗原となって起こるアレルギー反応による皮膚炎がアトピー性皮膚炎であるとする説である。

確かに特異IgE抗体が牛乳や卵白で陽性になっている患者は多い。しかし生まれながらにしてアレルギー体質をもつケースでは普通の食品さえ、取り入れてはいけないことになってしまう。

現在のところ、この食品とアトピー性皮膚炎の関係については明確な解答は得られていない。1ヶ月食事療法を行なって無効ということになれば、それ以上の食事療法は、栄養学的なバランスを考慮すると中止したほうがよいと思われる。

アトピー肌用スキンケア3点セット美肌精油ジェルを実際に使ってみた使用感

皮膚病薬

内臓の痛みが皮膚病となってシグナルをおくることもある

身体の中で一番大きな器官をご存知だろうか。肝臓だろうか?それとも腎臓でしょうか?答えは、皮膚なのだ。全重量は約4kgといわれる。
重さは肝臓の約2倍、表面積は約1.5平方メートル、厚さの平均は1.4ミリ。

さて、皮膚の構造は皮膚表面は表皮、真皮の二層から成り立っている。表皮は最表層にあるのが角層で、1ミリの何分の1くらいの厚さしかないが、意外に大切な働きをしている。

角層がはがれてしまうと、水やその他の化学物質、たとえば洗剤のような物質も皮膚から体内に入りやすくなったり、また紫外線にも弱くなって、すぐに日焼けを起こして真っ赤になる。外界の刺激を受け、皮膚の美しさに関係しているのである。

この角層が厚くなると、うおのめやたこができ、また角層に水虫の菌が入って水虫やたむしができる。

真皮は表皮の下にあって、その中の主な組織は結合織という網目状のしっかりした組織も、その中に毛根とか、汗をつくる汗腺や膚の脂をつくる脂腺などがある。

また血管やリンパ管、神経も走っている。表皮の代表的病気が湿疹なら、真皮のそれはじんま疹。
皮下組織は、真皮とその下の筋肉、骨との間にあり、多量の皮下脂肪を含む。皮膚疾患の種類はきわめて多いが、皮膚病の原因を大別すると、次の4つになる。

  1. 原因が外にあってかぶれたり、細菌感染したり、虫刺されが原因になったりするもの。
  2. 体内のいろいろな臓器、たとえば血管、神経、結合織、肝臓、消化器といったものと関連して系統的に起こるもの。
  3. ホルモンに関連して起こるもの。
  4. 遺伝的なもの、つまり体質的過敏症、あるいは皮膚の奇型など。

このように原因はいろいろで、どうしても治らないものもあることは確かであるが、皮膚病の大部分は適切な治療と患者の根気によって治るのが普通である。
ただし、皮膚が赤くなったり、むくんだりした時に発熱などの症状が起これば、生命にかかわる病気である場合があるので、速やかに皮膚科の専門医の診療を受けること。

効きめは強いが長期の使用は避けたい副腎皮質ホルモン剤

近年あらゆる医学の治療領域で用いられているものに副腎皮質ホルモン剤がある。副腎は腎臓のすぐ上にある、小さく扁平な臓器で、その皮質から分泌されるホルモンを副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモンともいう) といっている。大きく作用を分けると、グルココルチコステロイドという糖分の代謝に影響を及ぼすものと、ミネラルコルチコステロイドというカリウム、ナトリウムなどの塩類の代謝に影響を及ぼすものとがある。

このステロイドの作用でもっとも大きなものは、炎症を抑えるということである。

副腎皮質ホルモンを合成したステロイド剤は、内服、注射、外用など非常に広範に使用されている。炎症にはいろいろな種類があるが、化膿性炎症、アレルギー性炎症などほとんどすべての炎症に作用するのがステロイドの特徴である。

ステロイドの有効な病気として、慢性関節リウマチ、エリテマトーデス、強皮症といったいわゆる膠原病、また、皮膚科方面では薬物アレルギー、湿疹、接触皮膚炎などのアレルギー性疾患、やけどなどの炎症、円形脱毛症などの特異なものまでに有効である。しかし、それだけに使い方には注意を要する。内服のステロイドは長期間続けると今まで働いていた副腎皮質が働かなくなって、自然に萎縮してしまう。

副作用としては水分が蓄積して満月様の顔となったり、にきびが出たり、手足の毛が濃くなるというようなこともある。俗に塗り薬といわれる局所のステロイド剤には多種類のものがあって、多少の差異はある。

はじめに開発されたプレドニゾロンを成分とするプレドニン軟膏は比較的作用はおだやかである。その分副作用も少ない。

湿疹や皮膚炎などが少しでも湿潤していたり、化膿する恐れのある時は、リンデロンが使われる。軟膏はじゅくじゅくしている炎症に、クリームは慢性化していて乾いている状態のものに用いる。

つまりクリームのほうが薬効が強い。これら局所のステロイド剤も内服とはまた違う副作用がある。あまり長期間同じ部位に使用していると皮膚は萎縮して、表皮は薄くなり、時には皮膚の血管が透けて見えるようになることがある。これは顔の皮膚に対しては気をつけなければならない。また化膿菌に対して皮膚が弱くなって、おできができやすくなることもある。
強いかゆみにはステロイド、乾燥なら保湿剤を使うかゆみ止め薬

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