「痔主」の人が毎日の暮らしの中で気をつけなければならないこと

痔核は内痔核と外痔核(いぼ痔) に分けられているが、その本態は静脈のうっ血によるものである。したがって、次のような状態はなるべく避けるように心がけなくてはならない。

  • 日本式便所で5分以上いきむ
  • 同じ姿勢で(タクシーの運転手やマージャン好きの人などのように)座り続ける。
  • 冬場はゴルフなどで臀部を冷やす。
  • 肛門部分を不潔にする
  • 便秘・下痢

排便後に肛門部を洗う装置が売り出されているが、患部の清潔を保つうえで、痔の悪い人にはおすすめしたい。

痔核は一般療法を続けることによってぐんとよくなることが多いが、次のような場合には、医師に相談しなくてはならない。

  1. いつも脱出している(第三度)。
  2. 排便時にポタポタと出血する。
  3. 痛むので仕事が満足にできない。

赤い鮮血が便の表面に付着している、あるいは排便後に出る場合には痔核からの出血と考えられるが、安心はできない。

特に便に赤黒い血液様のものが付着している時、便と一緒にレンガ色の物が出る、黒いタール様の便が出るなどの時には口から肛門に至る消化管のどこかに出血があるのではないかと考え、医師の診察を受けることが大切である。

痔に効く内服薬

最近では痔の悪い人には内服薬がすすめられる4種類の薬が配合されていて抗炎症、粘膜修復、出血防止作用を発揮する。血のめぐりをよくして痔の血液の滞留を改善し、浮腫やうっ血を緩解する。
内側の痔、便が硬い場合の痔の薬

座薬と軟膏

痔の外用薬には坐薬と軟膏がある。坐薬は肛門より挿入して粘膜面の病変に作用し、軟膏は肛門とその周囲に使用する。薬としては、鎮痛、消炎、収欽、殺菌の効果があるものが配合されている。

坐薬にしても軟膏にしても、副腎皮質ホルモン(プレドニン、プレドニゾロン、ヒドロコーチゾン) の入った薬は、長期にわたり使用する場合には副作用の点を考えなくてはならないので、薬をかえる、あるいは医師に相談することが必要となる。

痔の薬

便秘と下痢が大敵

「色気と痔の気のない人はいない」とよくいわれているが、日本人は「1億総痔主」とまでいわれているくらいである。これは日本人の食事の内容とトイレの構造に関係しているといわれている。

腰から下が冷える状態、腰を圧迫するような姿勢やトイレ(和式)で長い間しゃがんだ状態を続けると痔になるのは、しばしば経験されていることと思う。

肛門付近は解剖学的に静脈が網の目のように入り組んでいるために血液が心臓のほうに還りにくく、すぐにうっ血することになる。

そのために便秘したり、下痢が続くと血管が傷害されて出血したり、炎症を起こして痔になるのである。痔には、痔核(内、外)、切れ痔、脱肛、痔ろうなどと種類があり、その症状も異なるが、このうちで痔核はもっとも多い。

痔の治療は、内科的(服薬)・外科的治療(手術) と一般療法に分けられる。