消毒薬のいろいろ
微生物を殺す薬剤には次のような特性が要求される。
- 比較的短時間にあらゆる病原微生物を死滅させる効力があること。
- 有効濃度で皮膚、粘膜を刺激損傷せず、吸収毒性もないこと。
- たんばく、血液、その他の爽雑物で不活性化されない。
- いろいろな環境条件下に曝露されても安定性があり効力が持続する。
残念ながら、これらの条件を全部満足させてくれる消毒薬は今のところ、ない。メーカーによりいずれも一長一短があるのである。代表的な消毒薬としては、グルタラールなどがある。
この中で微生物殺減作用の強いものは、グルタラールと次亜塩素酸ナトリウムで、長時間使用するとあらゆる微生物を殺滅することができる。病原微生物の中で一番抵抗性の強い細菌芽胞にはグルタラールの2% 液あるいは次亜塩素酸ナトリウムの1一% 液に浸漬し、3時間以上の接触が必要とされている。
だが通常の細菌を消毒するのであれば十分間の浸漬で滅菌可能とされている。グルタラールと次亜塩素酸ナトリウム以外の、消毒剤は、細菌芽胞に対してほとんど無力と考えていただきたい。
B型肝炎ウィルスで汚染された血液の附著した手指の消毒には水道の流水と石鹸で該部を洗い流し(3~5分間)、消毒用エタノールまたはイソジンで清拭する。
ヒビテン、オスパンなどは家庭で最もよく使われている消毒剤である。手、皮膚の消毒には一般に、消毒用エタノール、イソプロパノールがよい。ヨードチンキ、希ヨードチンキは皮膚からの浸透性が強いため、手術前の皮膚消毒に使用する。切り傷、粘膜の消毒にマーキュロクロム液(2% ) が多く使われたが、チメロサール同様、水銀化合物のため水銀公害問題以来姿を消しつうつある。