一緒にされやすい「いんきん」と「たむし」の違い
いんきん、たむしと一般的に呼ばれているものは次の3つに分けられる。その1つは湿疹である。主として男性の場合は陰嚢、女性の場合は大陰唇であるが、ほとんどが男性で、いんきんと呼ばれている。
その症状は軽度に赤くなって皮がむけ痔くなるのが特徴である。
2つ目はカンジダ症といって、陰嚢あるいは大陰唇から股のほうにかけて赤くなり、粟粒大の丘疹がぼつぼつでき梓くなる。
カンジダとは一種のカビ(真菌)である。
三番目はたむしといわれている頑癬(がんせん)で、陰嚢や陰唇には関係なく、大腿部から股のつけ根にかけて、境界が比較的明瞭で、その縁は少し高くなっている。
色は赤く、皮がむけ、ぽつぽつと丘疹が散在している。
このように陰部から大腿部にかけては3つの病気が主なものであるが、治療薬はそれぞれ違うものを塗らなければならない。
一番目の湿疹であれば、はじめは亜鉛華軟膏、オイラックス潤乳液などをつけてみる。これで治らなければ副腎皮質ホルモンの入っている軟膏などをつけるとたいていの湿疹によく効く。
2番目のカンジダ症にはイミグゾール系抗真菌剤がよく利用されるが、カンジダに優れた抗菌作用のあるピマシリンの入った薬も効果的である。
第3の頑癖は白癖菌が付着したものであるから、水虫の薬を使用すればいい。1一日2~3回患部に塗布する。これらいんきん、たむしの類は、昔から石けんを使わないといわれていたが、これはむしろ誤りで、普通の浴用石けんを用いてさしつかえない。入浴、シャワーを励行し、皮膚を清潔にしておくことが大切である。不潔、多汗は頑癖の誘因となる。痔いからといってタオルでこすったり、爪を立てて洗ったりすると、必ず悪化する。通気性のよい下着の着用も心がける。