急性腸炎

家庭薬として必ず常備しておきたい整腸剤

急性腸炎はいろいろな原因で起こるが、何といっても一番多いのは食中毒である。食中毒(食あたり)には、伝染型のものとそうでないものがある。

普通の食中毒の時には、食後しばらくして胃のふくれる感じや、腹痛、腹鳴があり、吐き気、水様の下痢がある。38~39度の発熱を伴うこともある

食中毒によって腸内異常発酵を起こすと、腸内細菌叢がアンバランスとなり、健康な時にには優勢であった乳酸菌が減少し、かわってアンモニア、インドール、スカトールなどの生体に有害な作用をもった物質を産生する腸内細菌が増加して、下痢ないしは下痢寸前の状態となる。
下痢 | 薬を使わない食事療法(病気・症状別)はこちら。

このような一時的な強い下痢には、水分の補給と同時に大腸内の殺菌、防腐の目的に製剤された整腸剤で昔から人気のある正露丸が効果がある。

正露丸は、腸内殺菌剤のクレオソートと腹痛や下痢を抑える成分を含む漢方剤が配合されていて、大腸内の異常細菌を抑える。正露丸と大体同じ成分であるが、服用しやすく糖衣錠にしたものがセイロガン糖衣である。家庭薬として常備しておくと子供の下痢や腹痛だという時に便利である。

急性胃炎

食べ物を口にしないで胃を休めることが大事

日頃あまり食べ慣れないような、珍味やご馳走を次から次へと出されると、よく噛まないで食べたり、つい食べ過ぎたりするのが人情である。このような暴飲暴食で胃が痛むのが急性胃炎である。

急性胃炎では、原因があって短時間の後に、心窩部(みぞおち)痛、げっぶ、吐き気、嘔吐、めまいなどの症状が出てくる。食欲はなくなり下痢を起こすこともある。
舌の表面をみると舌苔白く厚くなっているし、心窩部を圧迫すると痛む。人によっては三38度前後の熱が出ることもあるが、発熱は長く続かない。

急性の炎症を起こした胃の粘膜をファイバースコープで覗いてみると、赤くなって腫れているように見える。時には、出血を伴ったタグレを起こしていることもある。このような症状は、熱すぎたり、冷たすぎるものを食べたり飲んだりしてなることもあるし、かぜを引いた時や鎮痛剤、抗生物質、感冒薬などの強い薬を服用した場合にも起こる。

胃腸の丈夫な人でも、睡眠不足、過労、精神的ストレスなどの続いた場合には、日頃食べ慣れた食物にも急性胃炎を起こすことがある。

肉体的、精神的ストレスが続いて無理をしている人は、急性胃炎にかかりやすい状態に置かれていると考えられる。

いずれにしても急性胃炎は胃を酷使したり刺激したりすることが誘因となるので、胃に休養をとらせることが治療の第一歩であり、1日ぐらいは絶食して安静を保つことが肝要である。

薬としては胃酸を中和する作用のある制酸剤、胃粘膜を保護修復する作用のある保護修復剤、痛み、悪心、嘔吐を止める作用のある鎮痙・鎮痛剤、消化をよくする作用のある消化剤をおすすめする。

胃腸薬として薬局・薬店で売られている薬には、いろいろな作用をもったものを組み合わせて総合胃腸薬として製品化されたものが多い。薬効はほとんど同じと考えられる胃腸薬でも、製薬会社によって製品名は違っている。目的・症状に応じて次のような薬の選択をおすすめする。

食べすぎの時の消化酵素製剤

消化作用を助けるために消化酵素製剤の服用がすすめられる。食物中の栄養素であるでんぶん、たんばく質、脂肪などは、そのままの形では吸収されない。

胃腸からの吸収を可能にするためにはアミノ酸、ブドウ糖、脂肪酸などに分解して吸収可能な形にしなくてはならない。食べすぎた場合には自分自身の消化能力には限界があるので、薬としての消化酵素で消化能力作用を増強してやるという考え方である。

強い消化作用をもった消化酵素製剤に、新タカヂア錠がある。
でんぶん糖化酵素であるジアスターゼをさらに強力にしたタカジアスターゼN1を主成分としており、でんぶん消化酵素アミラーゼ、たんばく質消化酵素プロテアーゼ、脂肪消化酵素リパーゼ、繊維素消化酵素セルラーゼの作用をあわせもっている。
消化作用は胃液や重曹による影響を受けにくく、至適pHの範囲は広い(pH 3.5~5.5の範囲)

消化酵素製剤にはそのほかに、タケダ胃腸薬 ザッツ21、、強力わかもと、などがある。いずれも食後ただちに服用したほうが効果的。

一般的にいって、酵素は熱やお茶の成分であるタンニンに弱く、また、その消化作用を充分に発揮するためには至適pHの範囲が決まっている。
熱いいお茶などとは一緒に服用しないほうがよい。食べすぎは胃腸障害だけではなく、他の諸臓器に対しても負担をかけ悪影響を与える。しかも病気ではないだけに、見過ごされやすい症状である。消化酵素剤を持ち歩くのもよいが、健康のために腹八分目を心がけたい。

飲みすぎ、二日酔いなどのお酒を飲む人が必ず覚えておきたいこと

アルコールは胃の粘膜を刺激して胃の痛みを起こし、ひどい時には嘔吐をまねく。
急性胃炎のうちでもアルコール性飲料の飲みすぎによるアルコール胃炎はかなりの比重を占めている。すっかり吐いてしまい吐くものがなくなると苦い胆汁まで吐いたり、時には血を吐いたりするので周囲の者まで胃が痛くなる。

また洒を飲みすぎると、翌日になって、頭痛、吐き気などの二日酔いになる。これはアルコールが体内に多量に吸収された結果、肝臓の解毒機能が追いつかなくなってアセトアルデヒドという有害物質が蓄積するために起こる症状である。

飲みすぎや二日酔いの時には、胃の中は、はじめ低酸状態であっても後には胃酸過多になることが多い。このような場合には、制酸剤の入った胃腸薬を服用するとスッキリする。

酒は適量であるならば、心身の疲労をとり除き、食欲を増し、催眠剤ともなり、明日への活力の源泉となる。問題はその飲み方である。
本当に酒好きだといわれる人は、副食物をあまり食べないで、からいものをほんのおつまみ程度にとるのみなので、しばしば胃炎になっている。盲のアルコール量は30g (ビールなら大瓶1本半、日本酒ならお銚子1本半、ウイスキーならダブル1杯半くらい) 以下に制限して、1週間に2日は休肝日のドライデイを決めておくことである。
2週間の禁酒が脂肪値を半分に | 血管はもっと若返るによれば2週間の禁酒がかなり効果的なようなので禁酒期間も重要である。

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