狭心症

つねに薬を携帯し、予感がしたら早目に服用する

狭心症の発作(胸痛)にはニトログリセリン錠、ニトロール、ニトロールスプレーなどの即効性冠拡張剤がよく効く。狭心症の患者はこれをつねに携帯しておき、胸痛の予感があった場合に早目に服用する。

服用後は2分くらいで効果があらわれ、30分程効果は持続する。ニトログリセリン錠は古くなると効かなくなる。舌の上にのせてビリビリするならば有効である。

起床時、あるいは出勤途中で胸痛発作を起こす場合には、起床30分く2時間前に亜硝酸系薬剤(ニトログリセリンなど)の貼付あるいは徐放剤を服用する。
夜間睡眠中に、あるいは早朝に胸痛発作の起こる異型狭心症の場合には、就寝前にカルシウム括抗剤を服用して冠動脈の緊張を低下させておくと胸痛の予防ができる。安静時にも労作時にも、胸痛発作のある場合には、更にβ遮断薬と冠動脈拡張薬を加えベータ多剤併用療法を行っている。β遮断薬は心拍数を減少、心筋代謝抑制、酸素消費量減少の作用がある。β遮断薬には、副作用が少なくて効果を発揮する新しい製剤が開発されている。

心筋梗塞に狭心症の薬は効かない

心筋梗塞を起こした場合にはモルヒネを使用する。同じ心臓の病気でも、狭心症の場合に用いる亜硝酸系の薬剤は効きめが弱い。

血液の血栓形成を防止するための抗凝固剤には、ワーフアリンが用いられる。心筋梗塞は多くの場合血栓形成があって、心臓の一部分の血液の流れ(冠血流)が阻止されている。

この血栓を溶解すれば血流は再開する。これは血栓溶解療法と呼ばれている。梗塞発症の初期に実施するのが、早ければ早いほど、再開通率は良くなる。

心臓を環流する冠動脈の流れがわるくなり胸痛が続く、あるいはだんだんと胸痛発作の回数が多くなって憎悪傾向にある場合には、動脈ー冠動脈バイパス手術の行われる場合もある。動脈硬化と血栓形成で狭容した領域をバイパスしてその末棺動脈に、内胸動脈、あるいは胃動脈を吻合して血流を再開する手術である。

最近ではバイパス手術の代わりに、形成術を受ける人が増えている。狭窄部にバルーンカテーテルを送りこんで機械的に拡張するのである。経皮的冠動脈形成術と呼ばれている。