糖尿病

糖尿病にかかっていると思われる患者のほとんどが病気に気付いていない

糖尿病による死亡率は年ごとに増えており、三大成人病についで問題となっている。国内では約200万人以上の糖尿病患者がいると推定されている。しかもそのほとんどの人が、自分では糖尿病を自覚していない状態にある。

糖尿病は膵臓より分泌されるインスリンの量が不足して起こる糖質を中心とした代謝異常状態で、遺伝的素因に関係の深い病気である。インスリン不足のために血液中のブドウ糖濃度(血糖値)は上昇し、尿の中にまでブドウ糖が認められることになる(尿糖陽性)。

糖尿病の自覚症状は、初期の段階では認められない。中等度以上に進展すると、多食、多飲、多尿、口のかわき、疲れやすい、などの症状が出てくる。したがって、治療のもっとも有効な早期糖尿病を自覚症状から発見することは不可能で、血糖値の測定、尿糖の検査が早期発見の決め手である。

死に至る怖い糖尿病の合併症

糖尿病を放置すると、糖尿病性昏睡を起こすことがある。これは血中にケトン体が増加して血液が酸性(アシドーシス)となって、pHは7.25以下となるもので、適切な治療が加えられないと死に至る。

血管障害が一番問題である。糖尿病の血管障害は大血管にも微小血管にも起こり、動脈硬化症を認めることになる。心筋梗塞、狭心症、脳出血、脳梗塞、下肢の壊痘、糖尿病性腎症、網膜症が進展し、治療しても、元の状態には戻らないことが多い。

神経障害は中枢神経、末棉神経、自律神経の三者にあらわれるが、問題となる障害は末梢神経と自律神経の障害である。末梢神経障害は下肢に両側性に起こることが多く、対称的な痛みや、感覚異常を訴える。

筋肉の萎縮を認めることもある。自律神経障害としては性欲減退、起立性低血圧、膀胱障害、発汗低下、消化器障害、関節障害などがある。糖尿病患者には感染症が起こりやすい。特に肺炎、尿路感染症が問題となり、抗生物質の効きが悪いので感染が長びくことがある。下肢に生じた壊痕が難治性となることはよく知られていることである。
糖尿病の合併症について詳しく。

食事療法のポイント

自分の身長から標準体重をわりだし総カロリーを決める

糖尿病の治療は、もともと不足しているインスリンを極力節約することであり、どうしても足りない場合にはインスリンを注射することになる。治療法は、食事療法、運動療法、薬物療法の3つに分かれる。中でも食事療法は最も大切で、インスリンを節約するための基本療法である。食餌療法は次の2項目が基本となる。

  1. 総カロリーは必要最少量に制限する。
  2. それぞれの栄養素はバランスのとれた質と量を確保する。

総カロリーの決定と標準体重の決め方は、以下のとおり。
<総カロリー=標準体重×C>
<身長×身長×22=標準体重>
標準体重が決まると、次にはC(労作別体重1kg当たりの所要キロカロリーの値である。

一般事務職(1日座って仕事をする人)ではCは25~30とする。主婦、教師、看護師、医師などはCを30~35とする。農業などの戸外作業従事者ではCは35~40とする。
実際には、総カロリーはそれぞれ個人によって異なっているので、経過を観察しながら加減する。

肥満した人のCは、食餌療法開始の時点では15~20に決める。また妊婦、授乳中の婦人、20歳以下の発育期にあるものではCを大きくすることになる。総カロリーが決まると、そのキロカロリーを三大栄養素にどのような割合で振り分けるかということになる。

タンパク質
体重1キロ当たり1~1.5グラムのたんばく質を摂る。そのうちで30~40%は動物性たんばく質として摂り、獣肉と魚肉の割合を半々にする。大体の目安としては、女性では1日にたんばく質60グラム、男性では70グラムである。たんばく質60グラムのカロリーは4を掛けて240キロカロリーとなる。たんばく質のカロリーを総カロリーより引き、残ったカロリーを脂質と糖質に配分する。
脂質
1日に30~60グラムとする。総キロカロリーの20~25%を脂質でまかなう。そのうち不飽和脂肪酸の量を多くし、P / S を1.5とする。脂質1グラム のカロリーは9キロカロリーである。
糖質
たんばく質と脂質の合計したキロカロリーを引き去った残りのカロリーを、糖質の摂取にあてる。一般的には150~30グラム を1日量とする。糖質1グラム は4キロカロリーである。
ビタミン・ミネラル
たんばく質の肉類、脂質を含む食品、糖質を含む穀類の中にはビタミン、ミネラルが含まれているが、特に野菜には多く含まれているので1日量として野菜を300グラム以上とるように心掛ける。そのうち100グラムは緑黄色野菜とする。
食物繊維
日本食には食物繊維が多く、日本人の平均寿命が世界一となったこともあって日本食が再評価されている。本食が再評価されている。食物繊維は腸からの栄養の吸収を遅延させて、糖尿病にはよい効果を発揮する。また便秘を防ぎ、脂肪の吸収を阻害して血液のコレステロールを減少し、大腸ガンや大腸憩室の予防にもなっている。

ところで、糖尿病の人がバランスのとれた栄養配分ができるように献立メニューを作りたい時に役立つのが「糖尿病治療のための食品交換表」である。これは食品群に分けられ、80キロカロリーを1単位として、同一キロカロリー同士の食品の量目がわかるようになっている。同書では、総カロリーが決まると、前述の栄養素の配分を考慮に入れた上で自由に食品の訓選択ができるので非常に便利である。

運動療法のポイント

運動するとインスリンの節約になるので、毎日、各自の心臓の機能に合わせて行う。空腹時を避けて食後1~2時間の時点でやるとよい。はじめは15分聞くらいから開始して、だんだんと強化して一時間前後の運動量にもっていくとよい。ただし合併症のある人は運動のできないこともある。

薬物療法、血糖降下剤とインスリンの注射

糖尿病の人の薬には、経口血糖降下剤とインスリン注射がある。食餌療法と運動療法で効果が認められない場合にこれらの薬物療法を用いるわけだが、もちろん医師の指導のもとに行う。

インスリン注射は毎日、自分で行なう。経口血糖降下剤にもインスリン注射にも、副作用として低血糖が起こることをつねに考えておかねばならない。